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アトムへのカウントダウン Vol.7 レスキューロボット「Kenaf」

KENAF
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人に役立つロボットは鉄腕アトムのような
二足歩行ロボットだけではない。
地震やテロによる大都市災害の危険が高まる中、
瓦礫の山を自在に動き回るレスキューロボットへの期待は
高まるばかり。
中でも世界ナンバー1の機動力とよばれる日本のロボット。
それは同時にモノづくりの楽しさも伝えてくれる
世界最高のアミューズメントロボットでもあった。

千葉工業大学未来ロボット技術研究センターの小柳栄次さん

レスキューロボット開発の第一人者である千葉工業大学未来ロボット技術研究センターの小柳栄次さん。

外観はショベルのないブルドーザーのよう。車体の前後に付いた回転する4つのクローラ(キャタピラー)を手足のように上下させながら、木片ブロックの山を巧みに前進していく。車体の上にコンピュータや計測機器などを積んで動く姿は、月面探査機といったほうがいいかもしれない。

研究室に設定された木片ブロックのコースは組み合わせが複雑で、壁があったり窪みがあったり、人間でもまともに歩けない。途中には傾斜度60度ほどの壁もある。だがこんな難所をこの「Kenaf(ケナフ)」はやすやすと通過してしまう。

「Kenafは大都市の災害で、崩れたビルの瓦礫の上を移動するために開発したレスキューロボットです。2次災害が起こる可能性のある場所や、救助隊が入れない危険エリアでの先行活動を想定しています」と語るのはレスキューロボット開発の第一人者、千葉工業大学未来ロボット技術研究センターの小柳副所長(工学博士)。

「レスキューロボットと聞いてもイメージできないかもしれませんが、それもそのはずでロボット研究がスタートしたのは1995年の阪神淡路大震災の後。震災直後の救援活動に科学者たちは無力だったという反省が、このレスキューロボットには込められているのです」

80度近い壁をよじ登る

瓦礫の山を想定した木片ブロックのコースをなんなく乗り越えていくKenaf。前後左右のサブクローラを手足のように動かして進む。

80度近い壁をよじ登ることも可能

瓦礫走行だけでなく登坂能力も高い。滑らなければ80度近い壁をよじ登ることも可能だという。

  レスキューロボットの役割は直接人を助けるのではなく、災害が起きたらいち早く現場に行き、周辺状況を正確に把握して救急隊が活動しやすい情報を提供すること。また人が近づけない場所での生存者の発見も大きな任務。ロボットはアプローチのスタイルにより「上空からの情報収集」「瓦礫上からの情報収集」「瓦礫内での情報収集」の3つに分けられるが、Kenafは2番目の、瓦礫の上で活動するタイプに属する。

人間では近寄れない災害現場でこそ
能力を発揮する

では瓦礫の上で活動するレスキューロボットとはどんなロボットなのか。

大都市でのビル倒壊現場では、散乱したコンクリートブロックや鉄骨を乗り越える必要があるため、Kenafを含めほとんどのロボットが不整地などに強いクローラ式となっている。クローラ式といっても単純ではなく形態はさまざま。クローラのベルト部分をどんな形状にするかで走破性が左右される。重心の位置、モーターの種類や配置、手足となる4つのサブクローラの形状など、小柳さんたち千葉工大の研究チームも試行錯誤の連続だった。

2004年の初代モデルの開発から5年。レスキューロボットの世界大会に出場したりしながら、小柳さんの独自ノウハウの積み重ねて誕生したKenafは11代目のロボットだ。おかげで駆動システムに関しては今や世界ナンバー1のレベルに達した。

「技術は学ぶだけではダメ。使えなければ意味がありません。ロボット製作は楽しいし、学んだ技術を実証できるから学生達のモチベーションがあがるんです」

と力説する小柳さん。大学の先生になる前は10年以上も工業高校で機械科の教師を務めたモノづくりのベテランなのだ。

そうやって生まれたKenafだが、レスキューロボットは災害現場ですぐに役に立たなければ意味がない。水や泥、ホコリの中でも故障しないことはちろんのこと、現場に到着したら一分一秒でも早く活動することが要求される。小柳さんたちは5年前に新潟県中越地震の現場に出動したときも、到着して5分後には活動を開始したという。

「災害現場では到着後15分以内に活動開始することが条件。災害現場では生存者のことを考えると3日間以内72時間が勝負なんです」

新潟県中越地震では下水管の破損調査に威力を発揮した。災害直後は生命線であるガス水道の復旧が話題になるが、それ以上に大変なのが人の入れない崩れた下水管の復旧なのだ。

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